今年も多くの若者が社会人のスタートを切りました。溌溂とした笑顔を見ているとこちらも元気をもらえた気になります。
若い人を見た時の中高年の常套句は、「今時の若いもんは・・・」、ですが、最近はこの後に続く言葉が変わってきたように思います。
私の世代は、授業にも出ず、大学の周りの雀荘は昼間から繁盛、夕方以降はアルバイトと飲み会、という生活が普通でしたから、上の世代から「今時に若いもんは、なってない」と言われても仕方がありませんでした。会社に入ってからは一生懸命働きましたが言い訳はできません。
昭和から平成、令和と時代が移り、若者の生活ぶりは変わりました。大学では授業にきちんと出席して、学外の活動に参加している人も少なくありません。就活でも、企業の研究はもちろんのこと、自分の目指す方向をよく考えています。彼らの姿を見ていると「今時の若いもんは、しっかりしている」と思うのです。こうした姿勢は将来必ず実となって返ってくるでしょう。
一方で、社会に出てからの成長が、どのような仕事に巡り合い、成果を上げられるか、にかかっていることも確かです。
三菱重工で働いている時、30歳でタイ向けの仕事の実質的なプロジェクトマネジャーを任せていただきました。大変なこともありましたが、その時の経験が血となり肉となったことを実感しています。
日本総合研究所には31歳で転職しましたが、できたばかりの会社が力強く立ち上がっていく過程を経験させていただきました。私の人生で最も大事な時代の一つです。この時中心になっていたメンバーの多くは20代、30代でした。
良い機会に巡り会えれば若者は成長するのです。
ただし、当時は一人で成果を上げたつもりになっていましたが、先輩方が陰に日向に私を支えてくれていたに違いありません。
このように自分自身の経験を振り返れば、我々の世代に求められているのは、若者が成長できる機会をどれだけ作れるか、であると思うのです。
社会人のスタートを切った若者が、一人でも多く、素晴らしい成長の機会に巡り合えることを祈っています。