【井熊コラム#13】地方創生実現のため

· 井熊コラム

石破総理は施政方針演説で、「国民一人一人が自己実現を図ることができる「楽しい日本」を目指し、その実現手段として地方創生を核とした「令和の日本列島改造」を強力に進める」、と述べました。地方創生が政策の一丁目一番地に浮かび上がったと言うことができます。

総理の発言には100%賛成します。日本は他国に比べ将来に夢を持っている若者の割合が低いと言われます。若い人が楽しく夢を持てる社会を創り上げることができれば、日本にも明るい未来が開けます。また、多くの先進国は、多極分散の国土構造の中でゆとりある生活や産業活動を行っています。一極集中は欧米へのキャッチアップが国是だった時代の負の遺産だと思います。日本が豊かな未来を拓くためには地方創生は必須の課題です。

問題は、どうやって地方創生を実現するか、です。これまでも、国土の均衡ある発展、多極分散、地方分権、地方主権、等々、言葉を替えて地方創生の必要性が叫ばれてきましたが、一極集中と地方の衰退は止まりませんでした。

地方創生については、インフラ整備、モデル事業の創設、各種の補助金や税制優遇、といった政策が講じられて来ました。しかし、今やアイデアは出尽くし、似たような政策が名前を替えて施行されているのが現状ではないでしょうか。

従来の政策は、事業環境を良くすれば一定の確率で成長する企業が生まれるという期待感に基づいています。今、地方にとって必要なのは、出る杭を見い出し、伸ばすことです。そのためには「個」を重視した政策が必要になります。ここで問題になるのは、どんなに緻密に分析しても、「個」を絞り込むには主観が伴うことです。それに対して、税金を原資とする政策だから主観で判断することはできない、という批判もあるでしょう。しかし、策が出尽くした事業環境づくりの政策に拘れば税金が無駄に使われることにもなりかねません。

地方創生では、政策としての公平さ、公正さを保ちつつ、「個」を伸ばす政策への転換をいかに図るかが求められています。その鍵となるのは官と民の絶妙の連携だと思うのです。