【井熊コラム#9】地方創生のために必要なこと

· 井熊コラム

衆議選挙で与党側が過半数割れし、政策の行方が混とんとしてきましたが、石破首相が総裁選の時から掲げてきた地方創生が重要テーマであることに変わりはありません。

かつて日本には各地に固有の文化、経済が花咲いていた時代がありました。そのバランスが崩れたのは明治維新で欧米列強に対抗するようになってからです。東京に人材、資金、技術を集中し国力を高めようとしたのです。

一極集中の戦略が功を奏したことは後の日本の発展を見れば明らかです。しかし、日本を始めとするアジア勢の追随を受けた欧米を見ると、アメリカやドイツでは経済的な拠点が国内各地に分散しています。企業が成長したからといって、本社を首都に移転するようなことはありません。

一極集中はキャッチアップの時代には有効な政策だったかもしれませんが、独自の文化、経済を創っていくためには多極分散型の構造が必要だと思います。その意味において、地方創生は日本がこれから独自の成長を遂げていくために必須の政策と言えます。その上で求められるのは、地方創生とは何か、を具体的にイメージし実現のプロセスを考えることです。

先日、東京と名古屋の郊外にある幼稚園の運動会を見に行きました。そこは数多くの子供達と彼らの親である若い人達に溢れ、活気とエネルギーに満ちていました。どんな時代になっても、これこそ我々が大事にすべき地域感であると改めて思いました。

活気のある地域を支えているのは産業です。安心して働ける職場が活気ある生活の基盤となり、活気やエネルギーを生み出していくのです。重要なのは、二つの地域が単なる東京や名古屋のベッドタウンではないことです。地域の中に大企業、中小企業が立地し、過酷な通勤の負担を負うことなく職場に通うことができ、休日も家族で楽しめる場所があるのです。

こうした地域を作るために不可欠なのは地域に根差した企業を育てることです。独自の技術やサービスを開発した企業は地域の中にたくさんいます。問われているのは、そうした技術やサービスが全国、できればグローバルに普及していくために何をすればいいかを、地域あるいは国として考えていくことです。RICHは地域の企業に寄り添って、活力ある地域づくりに貢献していきたいと思います。