北陸地域の優れた技術やノウハウ等を応用展開できる可能性があると思います(西村実さん)

アドバイザーインタビュー

· インタビュー

RICHの技術アドバイザーとして事業者の支援をしていただいている西村実さんにお話をお伺いいたしました。

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■現在のポジションとこれまでの経歴について簡単に教えてください。

現在、株式会社エンバイオ・ホールディングスの取締役会長です。この会社は私が立ち上げた会社を母体に成長した会社です。東証STD市場に上場しています。大学で醗酵工学を専攻し、卒業後はライオン㈱に入社して洗剤用酵素の生産プロセスの開発に従事しました。途中、理化学研究所に派遣され最先端の生物化学工学に触れました。10年目に㈱日本総合研究所に転職しました。日本総研での経験と師と仰ぐ人との出会いが、その後ベンチャー企業の経営者に転身する人生を決定づけました。ちなみにRICHIの井熊さんとの出会いも日本総研時代に遡ります。日本総研に10年間勤めた後に、自分がフォーカスした社会課題の解決に事業家として取り組みたいとの思いでベンチャー企業を興し、今日に至っています。

 

■得意な支援領域を教えてください。

日本総研時代から現在に至るまで新事業開発を多く手掛けてきました。その中のいくつかが現在の会社の主力事業となっています。ゼロ(0)からイチ(1)を作り上げるステージ、イチ(1)をジュウ(10)に成長させるステージについては、多くの経験がありますのでご支援できます。ジュウ(10)をヒャク(100)に拡大するステージについては私自身も勉強中です。事業分野では環境事業と新エネルギー事業、技術分野ではバイオテクノロジーなら、自分の経験に基づくご支援に加えて、人的ネットワークがありますのでそれらも最大限に活用したご支援ができると思います。

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■北陸地域の企業や事業者の特性やビジネスの可能性はどのようなところにあると思いますか?

北陸地域には、豊富な電力を背景に重化学工業が発展した富山県、加賀百万石として伝統工芸が発展した石川県、繊維産業が発展した福井県とそれぞれに特徴があるとともに、3県に共通するのは質の高い農林水産業に裏付けられた食品産業や機械産業があるという点かと思います。優れた技術やノウハウ等の無形資産を保有する事業者が沢山いると思いますが、本業に特化しているため、あまり応用展開されてないようで勿体ない感じがします。そういった無形資産を異なる視点からフォーカスすることで、新たな市場が切り開けたり、新規事業に発展させたりする可能性があると思います。

 

■北陸地域の企業を支援するとしたらどのようなことをやってみたいですか?

私は石川県金沢市の出身です。高校を卒業するまでは金沢市で育ちました。個人的な想いになりますが、故郷への恩返しの意味で何かのお役に立ちたい気持ちがあります。私個人ができる事は、これまでの経験を生かしてアドバイザーとして企業をご支援することに尽きますが、当社(㈱エンバイオ・ホールディングス)の掲げる理念と使命に合致し、シナジーを発揮できる企業様と出会えたなら、是非とも戦略提携や資本業務提携にまで発展させて、共に成長できる関係を築きたいと考えています。 

 

■今後の展望や取り組んでいきたいことについて教えてください。

現在、当社の祖業である土壌地下水汚染問題、特に地下水汚染問題に原点回帰して新たな技術の開発に取り組んでいます。そのきっかけとなったのが、欧米で問題が顕在化し、わが国でも各地で発覚しているPFAS(有機ふっ素化合物)による地下水汚染問題です。能登半島地震の復旧支援に会社で参加した際に、水源としての地下水の重要性を再認識しました。人類にとって欠くことの出来ない水資源である地下水がPFAS汚染で利用できなくなるとしたら大問題です。環境問題の解決をライフワークとしている身として、PFASの地下水汚染問題の解決に取り組んでいきたいと考えています。

 

※このインタビューは2024年9月に実施しました。

西村 実

株式会社エンバイオ・ホールディングス 取締役会長

大手化学会社で研究開発に取り組んだ後、株式会社日本総合研究所の立ち上げに参画。微生物分解を応用した土壌・地下水浄化技術に関する異業種コンソーシアムを設立し、バイオレメディエーション(微生物浄化)を日本で初めて実用化。環境バイオ事業を手がけるベチャー企業、エンバイオテック・ラボラトリーズ(現エンバイオ・ホールディングス)に参画し、株式上場に導く。

【主な職歴・学歴】 1981年 大阪大学工学部卒業 1981年 大手化学会社プロセス開発研究所研究員 1984年 理化学研究所化学工学研究室客員研究員 1990年 日本総合研究所研究員 2000年 エンバイオテック・ラボラトリーズ取締役に就任 2003年 土壌汚染調査・コンサルティング・対策工事を手掛けるアイ・エス・ソリューション(現エンバイオ・エンジニアリング)設立 2008年 エンバイオテック・ラボラトリーズを環境事業を統括する持株会社(エンバイオ・ホールディングス)に変更、代表取締役社長に就任 2008年 東京農工大学より学位取得、工学博士(生命工学) 2014年 エンバイオ・ホールディングスを東証マザーズに上場 2023年 エンバイオ・ホールディングス取締役会長に就任 2024年 エンバイオ・ホールディングスを東証スタンダードに市場変更