「イノベーションは周辺(地域)から」を期待します(山田真治さん)

アドバイザーインタビュー

· インタビュー

RICHの技術アドバイザーとして事業者の支援をしていただいている山田真治さんにお話をお伺いいたしました。

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■現在のポジションとこれまでの経歴について簡単に教えてください。

修士課程修了後の12年間は悩み多き年頃で(笑)、放浪と探索の期間でした。オプトエレクトロニクスに関する研究開発という点では一貫していますが、某繊維会社、理化学研究所、ペンシルバニア大学、工業技術院と渡り歩きました。産も学も官も、会社員も学生もポスドクも、国内も海外もとダイバーシティな環境に触れて経験したことが、現在の自分の肥やしであり個性になっています。その後、日立製作所に入社し材料の研究開発に従事しましたが、8年後にマネージャに転向し、幅広い分野の研究開発マネジメント・プロジェクトに関わってきました。また長年、社会連携・地域連携にも関心があったので、大学共同研究拠点を開設したり、新興国との連携を深めたりしてここに至っています。現在、北海道で進めているJ-NEXUS「チャレンジフィールド北海道」もその一環で取り組んでいます。

 

■得意な支援領域を教えてください。

自分の得手不得手を語るのは難しいですが、技術や事業の目利きは得意な方かもしれません。企業経験を通じて、技術の優劣だけでなく事業化に向けた諸条件が一応頭に入っていますので、対象テーマを多様な観点から総合的に分析することはできると思っています。なかでも、経験してきた材料、ものづくり、エレクトロニクス、環境・エネルギーなどは肌感覚を持ってご支援できると思います。

また、ネットワークがまあまあ広いことと、根っからおせっかい好きなので、属性や地域を超えて、組織と組織を、あるいは人と人をつなぐことはご支援できそうです。ダメもとでまずはどんなことでも投げかけていただければありがたいです。

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■北陸地域の企業や事業者の特性やビジネスの可能性はどのようなところにあると思いますか?

私はまだ、マッチングハブ北陸、㈱RICH創立イベント、ESGファイナンスラボに一回ずつ参加させていただいた程度で、関係者とお会いしお話しする機会も少なく、北陸に関してしっかりと語る資格はないのですが、北陸には気骨のある経営者や特徴ある尖った企業が多い印象を受けています。現在の日本を眺めると、社会の仕組みもそれを支える基盤となる技術やシステムも成熟して閉塞感が漂っています。そんな空気を打破しブレークスルーを実現するのは、信念と大胆なアクションだと思っています。それを起こしやすい環境が北陸にはあると感じています。「イノベーションは周辺(地域)から」を期待します。

是非、皆さんから北陸に関する沢山のことを教えていただきたいです。

 

■北陸地域の企業を支援するとしたらどのようなことをやってみたいですか?

真っ先に浮かぶのは、北陸のものづくりと他地域のものづくりをつなぐことです。お互いが支援し合うことにより、各々の強みである技術シーズを高度化することや、個別要素技術だけでは実現できないソリューション化が可能となります。また、ビジネスを拡大するための機会やニーズを広く把握できるようになります。そのための鍵がコーディネータの存在で、私もその一助となれればと思っています。現在、J-NEXUS事業でつながった北陸と北海道に加えて、大田区も交えたものづくり連携の可能性を議論させていただいています。結果はどうなるか分かりません(笑) 

 

■今後の展望や取り組んでいきたいことについて教えてください。

先にお話しした、地域をつなぐことに加えて、将来の北陸の産業を担う学生さんや若者を支援するような活動に取り組めたら嬉しいですね。私だけでやれることは僅かですが、地域で機運が高まり、そのような活動が動くようなことがあれば、是非協力させていただきたいです。実際、J-NEXUS「チャレンジフィールド北海道」でも、旭川市の産学官地域関係者が連携して、農業高校―商業高校をつないだ高校生支援に取り組んでいます。

 

※このインタビューは2024年7月に実施しました。

山田 真治

株式会社日立製作所 研究開発グループ
シニアチーフエキスパート(Ph.D.)

日立製作所では半導体実装材料や材料ナノテクノロジーの研究開発に従事。その後、材料、エレクトロニクス、基礎研究の各研究センタをマネジメント。2016年に大学共同研究拠点を開設し、産学官地域連携イノベーションを推進。

CREST(量子技術) 領域アドバイザー Q-LEAP(量子情報/量子計測/量子人材) 領域アドバイザ一般財団法人光科学イノベーションセンター 評議員             研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)実装支援 評価委員