【井熊コラム#5】RICHが目指すイノベーション支援システム

· 井熊コラム

昨年度に続き中小企業庁の「イノベーション・プロデューサーによる活動支援実証事業」に採択いただきました。イノベーション・プロデューサーとは中小企業のイノベーションを支援する人材を意味します。RICHが構築を目指しているのは、多くの人が参加して知識を共有し、経験を出し合うことでイノベーション支援のスキルが自立的に発展していくシステムです。このシステムができれば特定の人材に依存することなく、イノベーション支援のスキルを高め、企業の成長を促すことができます。同じような効果は企業の中でも期待できます。かつてはトップダウン型で業務を進めてきた日本企業ですが、最近では事業の立ち上げや運営を現場に任せるようになってきています。そこでマネジャーに求められるのは、現場のイノベーションを支援するスキルです。

こうしたシステムが必要と考えたのは、特定の人材の経験やスキルに依存したイノベーション支援は限界があると思ったからです。ハーバード大学の人気教授であるマイケルサンデル氏の著書に「実力も運のうち」という本があります。ある人が自分自身で勝ち取ったと思っている実力も運に寄るところが多いというのです。私は1983年に社会人になってから、バブル経済、バブル崩壊、金融危機、ITバブル、中国の台頭、日本の低落という、激動の時代を経験しました。その中で、結果論として様々な事業に関わることができました。自分の実力だと思っているスキルやノウハウも、こうした時代にたまたまビジネスマンでいられたことの結果に過ぎないと思うのです。それに依存していては地域も企業も持続的な成長ができません。

幸い北陸では多くの人が新しいシステムづくりを応援してくれています。北陸発のイノベーション支援システムにご期待ください。