RICHのサービスをご活用いただいている「株式会社 田中建設」の田中 均社長にお話をお伺いいたしました。
■御社の主な事業内容について教えてください。
一般土木工事を行う建設業とともに、土のスペシャリスト集団として土のリサイクル業・固化材事業など、土に特化した事業展開も行っています。1970年代から普及した石膏ボードは、木造住宅が寿命を迎え解体系の廃石膏ボードが大量に発生することが危惧されていますが、弊社では産業廃棄物である廃石膏ボードを固化材として再資源化利用する技術の開発に、国内で初めて成功しました。
石膏ボードを安全に使うためにはフッ素や硫化水素という人体に影響する有害物質が出るのですが、金沢工大と石川高専の先生と一緒に有害物質を抑える方法を研究して辿り着きました。
埋め立て廃材の削減になるのはもちろん、従来の固化材は強アルカリ性になるため植物や魚に影響があるのですが、廃石膏ボードの半水石膏は中性なので環境に優しく安全。また、リサイクル製品のため、原料は無料で既存製品よりも安く提供できる利点もあります。生産時熱量を10分の1以下に減らすため、大幅なCO₂削減にも貢献します。
■北陸RDX、またはRICHの支援をうけることになったきっかけ、またどのような支援を受けているか教えてください。
平成19年度よりものづくり補助事業の一環として、廃棄物からなる固化材の研究開発を行っていました。北陸先端科学技術大学院大学との関わりで北陸RDXの支援事業として選ばれたことから、事業展開に関わることになりました。
弊社では研究成果をもとに固化材製造プラントを全国第一号機として設置し、固化材製造に取り組んできましたが、RDXより知財の部分及び全国展開に向けたマーケティング等の支援を受けています。各種専門家を紹介していただき、それぞれ成果が出ています。当社の状況を把握しながら的確な指導・支援をしていただいており、支援については十分満足しています。
中小企業では出来ないことを、支援を受けて、全国展開を目標に活動していきたいです。
■御社の今後の展望や取り組んでいきたいことについて教えてください。
北陸RDX、RICHと連携しながら、固化材製造プラントの全国展開を目指していきます。国土交通省の基本姿勢は国土強靭化。この技術とプラントを全国に広めることによって、日本が目指す循環型社会形成と国土強靭化に貢献していきたい。日本のあちこちで大雨や地震があるが、土砂崩れに対応するために全国に固化材製造プラントを作って、改良土センターもあれば、災害にあってもすぐに復旧できる体制が作れます。
多くの利点を持つこの技術を生かして、日本に安全に住める地域を作っていきたいと思っています。
※このインタビューは2024年4月に実施しました。
建設業を主軸に「地球をやさしく耕す、土のアーティスト」をテーマに土の循環型システムの構築を行っている。
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